施術内容
多くの場合下顔面と中顔面はフェイスリフトとして同時に手術されますが、中顔面はSMASの発達が下顔面と異なるため、難易度が高い手術とされています。 筋肉や神経の走行が制限しますので、外側上方への引き上げが難しくなります。また、引き上げ方向を誤ると、目つきが変わってしまいますので、垂直方向に引き上げます。中間に存在する強固な靭帯を切り離し、可動性を得ることが十分な効果を引き出すポイントです。
お勧めの方
・中顔面のたるみを引き上げたい方
・目の下から頬にかけてのたるみを引き上げたい方
・鼻唇溝の上も頬も首も同時にリフトアップしたい方
頬部における除皺術はSMASを利用した下顔面のリフト(顎(あご)のライン~、頚部(首)のリフト)と鼻唇溝上部から頬部内側の中顔面リフトに分けられます。
通常両部位はface lift として同時に手術されますが、中顔面においてはSMASの発達が下顔面と異なり、より手術を難しいものとしています。
中顔面においてはSMASの層に含まれる下瞼の眼輪筋は、頬骨骨膜から起こる大・小頬骨筋、上唇下制筋と層的連続性を持ちません。そのため、SMASの挙上という表現にあいまいさをもつことになります。
さらに顔面神経側前頭枝の存在により側頭部からのアプローチも制限され、外側上方への引き上げが難しくなります。中顔面におけるリフト=ミッドフェイスリフトについて多くの報告がみられるのは、剥離する層、挙上すべき組織、その固定方法などさまざま可能性があるからです。
中顔面におけるSMAS
SMASの概念は、真皮下認められる浅筋膜層(superficial facia)の深層に位置し、線維性中隔を有する脂肪組織を介して真皮と連絡しているというものです。
YousifらによってSMASと表在脂肪層(facial-fatty layer)は個別の層として分けられ、特に頬部で発達した脂肪層はmalar fat と呼ばれています。側頭部でのSMASは同様な層構造を持っている浅側頭筋膜 (tempoloparietal fascia)に移行し、中顔面では眼輪筋の下端から頬骨筋に接するmalar fat の下縁として口輪筋に向かいそこで頚部のSMASと合流します。
Retaining ligament
頬部リフトで重要な解剖学的知識の一つはretaining ligamentの概念です。
これは骨に支持性を持たないSMASの支持部位として存在し、手術では、線維中隔の密な表在脂肪層であり剥離というより切離を必要とします。特に頬骨弓下縁に認められるzygomatic ligamentは支持性が強く、このretaining ligamentの切離を行わないとmalar fatを引き上げても皮膚はほとんど吊り上りません。Sub-orbicularis oculi fat (SOOF)は眼輪筋裏面の薄い脂肪層で眼輪筋からSMASを隔てて大頬骨筋起始部まで存在します。そのため頬部においてはmalar fat を大頬骨筋から剥離する操作をSMASの挙上と考え、眼輪筋を含めるとSOOFsuspensionと称しています。
中顔面(ミッドフェイス)リフト
アプローチする深さによって以下の2種類の方法があります。
(1) Subperiosteal midface lift(骨膜下リフト):
側頭筋深筋膜上により頬骨弓に至り、頬骨弓骨膜を上縁で切離して骨膜下に大・小頬骨筋起始部を越えて剥離を進める。梨状孔縁、上顎骨で骨膜を切り離し頬骨筋起始部ごとに引き上げます。
(2) Composite rhytidectomy(複合リフト):
前述したように中顔面のSMASを用いて引き上げる方法です。下眼瞼からの剥離はSOOFの層で行ないます。
手術方法
側頭部における皮膚切開は毛生え際切開を多用し浅側頭筋膜上で剥離を行ないます。
この層は前頭枝を含まないので頬骨弓を越えてzygomatic ligamentの切離が可能です。眼輪筋の外側縁でSOOFの層につながり、そこから大頬骨筋膜の起始部を確認しながら筋体と脂肪層の間を口唇に向けて剥離します。Malar fatの引き上げに抵抗を感じる場合は上唇挙筋の方向に剥離を進めてmalar fat との接合部を剥離すると挙上が容易となります。その後SOOFからmalar fatを吊り上げることがミッドフェイスリフトではもっとも大切なのですが、ナイロン糸を用いて3針ほどsuspension sutureとして深側頭筋膜に吊り上げ固定を行ないます。
POINT
ミッドフェイス(中顔面)フェイスリフトは、多くの場合フェイスリフトとして下顔面と同時に手術されます。ミッドフェイス(中顔面)はSMASの発達が下顔面と異なるため、難易度が高い手術とされています。
引き上げ方向が難しく、方向を誤るとつり目のようになり、目つきが変わってしまいますので、垂直方向に引き上げます。
ミッドフェイスでは、強固な靭帯を切り離し、可動性を得ることが十分な効果を引き出すポイントです。靭帯を一旦切り離さないと、頬上部の脂肪を引き上げても皮膚はほとんど引き上がりません。そのため当院では、中顔面においては靭帯を大頬骨筋から切り離し、頬上部の脂肪を剥離して引き上げます。
顔面中部の筋肉、頬上部の脂肪、皮下組織、皮膚をまとめて引き上げます。眼輪筋の裏の薄い脂肪層から頬上部の脂肪を吊り上げることがポイントです。
顔面神経側前頭枝という神経の存在が、側頭部からのアプローチを制限しますので、外側上方への引き上げは技術と経験を要します。
ミッドフェイス(中顔面)フェイスリフトの特徴
-
施術時間
約240分
-
麻酔
静脈麻酔/(局所麻酔)
-
腫れ具合
★★★★☆
-
ダウンタイム
1~2週間
抜糸 7日目
料金表
-
ミッドフェイス フェイスリフト
1,100,000円~ ※2019年10月からの税込料金です。