施術内容
顎(あご)に対する希望で特に多い長い顎、大きい顎には2段水平骨切り術が適応されます。オトガイ神経の位置などの個人差にもよりますが、最大約10~12ミリ短く、また、下顎骨の厚みによる個人差はありますが、最大約8~10ミリの後退を目的とする手術です。骨切り後の段差を滑らかな曲面に仕上げるには高度な技術を要します。
お勧めの方
・長い顎(あご)を短くしたい方
・面長の顔を治したい方
・顎(あご)を引っ込めたい方
・顎(あご)を出したい方
・他院手術後の段差を修正したい方
オトガイ(顎)短縮手術
一般的に皆様が思われている顎(あご)は、口元の下方で顔の中心である下顎骨の中央部分を指すのですが、その部位は医学用語では、オトガイ(頤、おとがい)と表現されます。
顔面輪郭手術において、代表的な部位としてエラ、頬骨、そしてオトガイが挙げられます。エラ、頬骨は小さく、整えたいということでほぼ皆様が同じ悩みです。
一方、このオトガイに関してはさまざまな悩みがあります。
『顎が長すぎる』『顎がしゃくれて出ている』『顎が大きく、幅は広い』『顎が引っ込みすぎ』『顎が短すぎてしまりがない』『顎が曲がっている』等々、いろいろな悩みがあり、それぞれの悩みに対して対応する手術が異なります。
その中でももっとも多い相談が『アゴ(オトガイ)を短くしたい』というものです。ここでは、オトガイ短縮術(顎を短くする)を紹介します。
オトガイの解剖学的評価
1)オトガイの長さの基準では、下口唇下端~オトガイ先端までの長さが女性で35mm、男性で38mmが平均値と考えられます。
2)オトガイの幅経は左右鼻翼間幅径から左右光彩内側縁間幅径の間であることが望ましいとされます。通常は女性で35mm程度となります。
3)横顔で、オトガイの突出度合いを評価するにはRickettsのE-ラインが有名です。この基準は、鼻尖とオトガイ最突出点を結ぶ線、すなわちE-ラインに対し、口唇がやや内側かそれに接することが望ましいとされています。
以上の3点はオトガイ手術を行う際には大変重要な指標となります。さらに顔面構成の評価は、個々のパーツごとに評価するのではなく、顔全体の調和で個々のパーツをとらえなければなりません。
オトガイ短縮手術の実際
オトガイが長いことを気にされ来院される患者様は非常に多くいらっしゃいますが、外来でははじめにオトガイの長さを測定します。女性では平均が35mmであり、男性では38mm程度です。それより長い場合には短縮手術の適応があります。代表的な手術法として
1)水平骨切り術
2)オトガイ下端削骨術+結節部斜骨切り術
が挙げられます。
短縮と同時に顎を前に出したい場合には、水平骨切り術が適応になります。
また短縮と同時に顎幅を細くしたい場合には、1)水平+垂直骨切り術、2)オトガイ下端削骨術+斜骨切り術のどちらかを適応します。
オトガイ水平骨切り術(中抜き法)
オトガイの骨を切除予定幅で上下2本、水平方向に骨切りし、中間骨を切除して(中抜き)、遠位の骨片を上方に移動し、固定ます。骨片移動に際して、短縮と同時に前進、後退を行うこともあります。またオトガイ幅を狭くすることも可能です。
短縮量の目安は、下口唇下端~オトガイ先端の距離を計測して、女性では平均値の35mmに近づけるようにします。オトガイ神経の走行位置にもよりますが、最大で8mm~10mmの短縮が可能です。手術は全身麻酔下に行なわれます。手術時間は約1時間30分ほどです。
水平骨切り術の実際
【水平骨切り術】
①切開
切開は、口の中で、両側第一小臼歯部(4番)を結ぶ前庭円蓋よりやや唇側に行ないます。
②剥離
粘膜剥離の際には、左右のオトガイ神経をまずはじめに確認します。下顎正中の下縁まで骨膜剥離を行ない、オトガイ部全体を露出させます。
③骨切り線の設定
骨切り線の上限は、左右のオトガイ孔から6mm下方の点を結んだ線を上限とします。末梢の移動骨片の厚さは最低5mm必要で、これを骨切りの下限とします。中抜き切除骨片はこの骨切り線の上下限の間で切除することになります。通常最大で8~10mmの中抜きが可能です。 実際には、術前予測と実際の下顎骨、とくにオトガイの骨形態、下顎下縁とオトガイ孔間の距離が左右で異なることがあるので、骨切り線は術中に最終決定されます。
④水平骨切り
骨切りは、サジタルソー(骨鋸)を用いて行ないます。また、舌側骨皮質は、口底部に手指を当て骨切削器具による軟組織の損傷を防ぎます。
⑤骨片の位置決定
切離骨片の位置は、骨把持鉗子術前に設定した位置へ移動させ、下顎体との適合性を確認し決定します。骨片の位置が決定したならば、軟部組織を元に戻してオトガイの形態と顔面との調和を確認します。
⑥骨片の固定
切離移動した骨片は、決定した位置にあることを確認しながら下顎体部に固定します。 骨片固定は切離した小骨片の新たな位置の維持と骨癒合にきわめて重要です。固定力は、骨片が周囲軟組織の術後変化に抵抗し、新たな位置に安定するのに十分な力が必要です。 とくに、オトガイの前方移動は、固定に一層の配慮が必要となります。 固定には、ミニプレート、ワイヤーなどが用いられます。
(そのこれらの固定材料は希望により、術後6ヶ月以降であればいつでも抜くことが出来ます。)
⑦骨断端の処理
骨片の固定後、下顎体と骨片の移行部は、剥離した軟部組織を元に戻して皮膚の上から触れ、骨の段差は皮膚の上から触れない程度に削骨しますが、この作業が本術式では最も難しく、さらに重要です。
⑧創閉鎖
術野を十分に洗浄後、手術創は骨膜縫合と粘膜縫合の2層縫合を行ない完全閉鎖します。
【オトガイ水平骨切りのヴァリエーション】
オトガイ下端削骨術+結節部斜骨切り術
オトガイの短縮量が5mm以下であれば、はじめにこの術式が考慮されます。
オトガイの骨の裏側には頚につながる筋肉(顎二腹筋、顎舌骨筋)が多数くっついているため、先端で骨を切除する際にこれらの筋肉の付着に注意を払います。これら筋肉を切離してしまうと、手術後に顎のたるみ、二重顎が気になる可能性があります。
本術式の利点は、手技が簡単で、手術侵襲が小さく、早期に回復することが挙げられます。
但しオトガイ神経の外側まで範囲を広げて削骨を行わないと、オトガイ横幅が大きくなり、大きい顎が形成されてしまいます。手術範囲はあくまで水平骨切りと同様に行うべきです。
本術式では固定が必要ありませんので、チタンなどの金属にアレルギーなどがある患者様にとっては好都合です。
実際の手術手技
切開、剥離は水平骨切りに準じます。
下顎骨下端で最小限に筋肉を剥離し、先端切除後にも筋肉は離断されぬよう注意します。顎の骨削りは、水平方向ではなく、両端は下顎骨のラインに自然に移行するようにデザインします。水平方向の骨切りだけでは横幅の広い大きなオトガイとなるために避けなければなりません。したがって、骨削りは、ときにオトガイ神経を超えてエラ方向に向かって行っていきます。
本術式は水平骨切りより、オトガイ神経に負担が少なく、術直後より患者様の違和感(知覚)が小さいのが特徴です。
POINT
水平骨切り術は、顎(あご)の長さを短くするだけではなく、顎(あご)を前後に移動させることもできる施術です。
個人差はありますが、顎(あご)を最大10~12ミリ短く、最大8~10ミリ後退させることができる施術です。
顎(あご)は腫れが目立たない部位です。口の中からの施術ですので、外に傷が一切つきません。
水平骨切り術が、難易度の高い施術とされているのは、骨切り後の段差の修正にあります。当院では、段差をならしていくために独自に開発した骨削りノミで、エラ(下顎角)の方向に向かって段差を丁寧になだらかにしていきます。
輪郭美の基準線を基に、顎(あご)だけを見るのではなく、エラなど輪郭全体のバランスをみてトータルデザインをします。
短縮(水平骨切りなど)の特徴
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施術時間
約80分
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麻酔
全身麻酔
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腫れ具合
★★★☆☆
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ダウンタイム
約1~2週間
抜糸 10~14日目
(吸収糸を使用するが、基本的に抜糸を行う)
術後1~2週間位までの食事は、熱いもの、堅いもの、辛いものなどの刺激物は避ける。
同時に行うことが多い施術
料金表
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顎 短縮(水平骨切りなど)
1,100,000円~ ※2010年10月からの税込料金です。 ※個人差によって料金の変動がございます。