内視鏡手術
顎顔面外科、口腔外科領域での内視鏡の使用は、手術中の詳細な観察と状態を正確に把握することが可能となり、侵襲も軽減されます。
質の高い顎顔面外科領域での骨切り手術を行うためには、ぜひ習得すべき手術手技です。
endoscope
・ 内視鏡: φ4㎜ , 30‐degree angle scope
(Olympus Corporation,Tokyo,Japan)
・ リトラクター:SYNTHES Maxillofacial
内視鏡手術では小さい皮膚切開から手術野を拡大視して手術をするため、手術侵襲を軽減し、確実な手術操作が可能です。
従来の方法より術後の腫れや痛みが少なく、ダウンタイムが短いために患者様にとっても術後のストレスが少ない有用な方法です。
消化器外科をはじめとして、さまざまな領域に導入され、手術機械の開発・改良と相まって発展してきました。
形成外科領域においては、1990年代の初めに報告された内視鏡下前額除皺術がきっかけとなり、欧米では美容外科を対象とした内視鏡手術手技の開発が急速に進みました。
その後は、主に再建外科分野を対象としての取り組みが進み、手術器具の開発、さまざまな手術に対する新しい方法が報告されてきました。また、コンピュータ外科と癒合したガイドサージェーリとして使用する方法も報告されています。
顎顔面外科分野では、限られたドクター、限られた施設で行われているのが現状です。
顔面骨への内視鏡使用の使用例
現在セレスティアルクリニックでは顔面骨輪郭形成手術において、以下の手術に際して内視鏡を使用しています。
1. 下顎角形成(エラ)
口腔内切開から下顎角(エラ)を切除する際に、下顎枝後縁は直視下には見えない場合が多々あります。その際に内視鏡下に骨切りラインを確認しないと、正確な骨切りは出来ません。術後の不自然な下顎形態、左右差などの合併症をなくすための工夫として、内視鏡を使用しています。
2. 下顎枝矢状分割法(SSRO)
下顎枝矢状分割法における水平骨切りの際の下顎枝(内板)後縁、垂直骨切りの際の下顎骨下縁(外板)の溝の形成は、直視下に見えないことが多く、確実な分割(SPLITTING)を行うには内視鏡のアシストは大変有益です。
これらの部位の皮質骨の溝がしっかり掘られていない場合には、思わぬ方向への骨が分割され、意図しない部位に骨折を起こすことがあります。内視鏡の挿入は安全性、確実性を向上させるためのツールです。
3. LeFort I型骨切り術
上顎骨外側の骨切りの際に、翼突上顎結合部に近い部位では手前側の骨が大きく張り出しており、常に骨切り線を確認することができません。内視鏡を挿入することにより骨切り線が確実に確認できますので、出血、異常骨折などの合併症は回避でき、確実な骨切りが可能です。
4. 頬骨形成術
口腔内からの骨切りの際の前頭突起部での骨切りは常に見えない部分です。内視鏡で確認することで正確な骨切りが行えます。また骨固定後の段差を慣らす骨削りの際も有用です。